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2026.09.03Blog

法定調書の電子提出義務化は30枚以上へ──中小企業が今から備える3つの準備

法定調書の電子提出義務化の基準が、令和9年(2027年)1月から「100枚以上」→「30枚以上」に引き下げられます。これまで紙で出してきた中小企業も対象に入る可能性があり、年末調整が本格化する前の今が準備どきです。この記事では、何がどう変わるのか、そして総務・経理の現場が今から進めておきたい3つの準備を、専門用語をかみくだいてご説明します。国税庁が令和8年8月に令和8年分の手引を公表し、書面様式も変わったこのタイミングだからこそ、一度整理しておく価値があります。

何が変わるのか──電子提出の基準が「30枚以上」に

法定調書とは、「誰に、いくら支払ったか」を税務署に知らせる書類の総称です。中小企業になじみが深いのは、従業員に渡す給与所得の源泉徴収票や、税理士・デザイナー・講師など外部への支払いをまとめる報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書あたりでしょう。

現在は、法定調書の種類ごとに、前々年(基準年)に提出すべきであった枚数が100枚以上の場合、e-Tax、国税庁長官の認定を受けたクラウドサービス等、または光ディスク等による提出が義務づけられています(国税庁 No.7455)。

この基準が、令和9年1月1日以後に提出する法定調書から「30枚以上」に引き下げられますe-Tax「法定調書のe-Tax等による提出義務化の概要について」)。

| | 現在 | 令和9年1月1日以後に提出する分 | |---|---|---| | 電子提出が義務になる枚数 | 種類ごとに100枚以上 | 種類ごとに30枚以上 | | 判定に使う年 | 前々年(基準年) | 前々年(基準年) | | 認められる提出方法 | e-Tax/認定クラウド等/光ディスク等 | 同左 |

見落としやすいポイントが2つあります。ひとつは、判定が法定調書の種類ごとに行われること。すべてを合算するわけではありません。もうひとつは、基準になるのが前々年の枚数だということ。令和9年に提出する分は、令和7年(2025年)の提出枚数で判定されます。つまり、対象になるかどうかはすでに確定しているのです。

源泉徴収票は「提出先」も変わります

もう一点、令和8年分から実務が変わります。**源泉徴収票の「みなし提出の特例」**です。

令和9年1月1日以後に提出すべき令和8年分以後の給与所得の源泉徴収票については、一定の事項が記載された給与支払報告書を市区町村長に提出した場合、税務署長にも源泉徴収票を提出したものとみなされます。市区町村に出せば、税務署への別送が不要になるということです。国税庁はこの特例に関するQ&Aを令和8年4月に公表しています(提出範囲の考え方は国税庁 No.7411もあわせてご確認ください)。

また、国税庁は令和8年8月に「令和8年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」を公表しました(令和8年8月1日現在の法令に基づくもの)。あわせて税務署提出用の書面様式も変更されています。古い様式のひな形をフォルダに保存したままにしている場合は、差し替えが必要です。なお令和8年分の提出期限は、原則の1月31日が日曜日にあたるため**令和9年2月1日(月)**となります。

制度の細かな適用は会社ごとの事情で変わります。自社が対象かどうかの最終判断は、顧問税理士や所轄の税務署にご確認ください。

中小企業が今から備える3つの準備

1. 種類ごとに「枚数」を数える

まずやるべきは、令和7年に何をどれだけ出したかの棚卸しです。源泉徴収票、支払調書、不動産の使用料等の支払調書……と種類ごとに枚数を書き出します。30人規模の会社なら源泉徴収票だけで基準に届くケースもありますし、逆に支払調書は数枚ということもあります。「なんとなく少ないはず」ではなく、数字で確認してください。

2. 提出方法を決める

対象になった場合、選択肢はe-Tax、国税庁長官の認定を受けたクラウドサービス等、光ディスク等です。給与計算や会計のクラウドサービスを使っているなら、そこから電子提出できるかを提供元に確認するのがいちばん早道です。e-Taxを使う場合は、利用者識別番号や電子証明書の準備に日数がかかることがあります。11月の年末調整シーズンに入る前に手配を済ませておくと安心です。

3. 元データの持ち方を見直す

電子提出でいちばん詰まるのは、実は提出そのものではなく元データの整備です。マイナンバーや住所が別のExcelに分かれている、外注先の情報が担当者のメールにしかない、といった状態だと、電子化しても手作業が残ります。「支払先の情報を1か所にまとめる」「入力ルールを決める」——この地味な作業が、翌年以降の負担をいちばん減らします。

よくある失敗:「うちは30枚も出していない」で終わらせてしまう

もっとも多いのが、確認せずに対象外だと決めてしまうケースです。パート・アルバイトを含めた延べ人数、年の途中で退職した方、外部の講師や士業への支払い——数えてみると意外に届いていた、ということは珍しくありません。

逆に、義務の対象でなくても電子提出には意味があります。印刷・封入・郵送の手間がなくなり、提出控えがデータで残るからです。**「義務かどうか」ではなく「その作業を毎年続けたいか」**で考えると、判断を誤りません。

もう一つの失敗は、ツールだけ導入して運用を決めないことです。誰がいつデータを更新するのかが決まっていないと、翌年また同じ苦労を繰り返します。AIやツールを業務に組み込むときの考え方は、AIエージェントは「指示の出し方」で成果が変わるでも触れています。

まとめ

  • 法定調書の電子提出義務の基準が、令和9年1月1日以後に提出する分から種類ごとに30枚以上へ引き下げられます
  • 判定は**前々年(令和7年)**の提出枚数。対象かどうかは今すぐ確認できます
  • 令和8年分から、給与支払報告書を市区町村に出せば源泉徴収票は税務署に提出したものとみなされます
  • 令和8年8月に手引と書面様式が更新されました。古いひな形は差し替えを
  • 準備は「枚数を数える → 提出方法を決める → 元データを整える」の順で。年末調整前の今が動きどきです

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本記事は、国税庁の「No.7455 法定調書の提出枚数が100枚以上の場合のe-Tax、光ディスク等又はクラウド等による提出義務」「令和8年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」およびe-Taxの「法定調書のe-Tax等による提出義務化の概要について」などを参考に、AI STARTの視点で独自に再構成したものです。制度の適用は個別事情により異なりますので、詳細は所轄税務署または顧問税理士にご確認ください。